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旦過詰 たんがづめ
 二日間の庭詰が終わった。
 修行僧は第二の関門ともいうべき旦過詰に入る。今では、庭詰と旦過詰で五日間であるが、昔は庭詰だけで五日間から一週間に及んだという。禅僧は誰でも彼でも、その若き日にこの関門を経験しているのである。
 旦過寮は薄暗い小さな部屋で、片隅に古ぼけた行灯が置かれているのが印象深い。第一夜と違う点といえば、一枚の蒲団が置かれていて、この蒲団を二つ折りにして、その中に冷えきった体を横たえるのが許されることである。なんのことはない。柏餅のアンコみたいに身を縮めて、しばしのまどろみに入るのである。
 旦過詰の三日間は、一種の幽閉生活で、骨の髄まで孤独を味わうことである。この部屋では終日、如法(法にかなう)に坐禅し、瞑想に耽るのだが、この間、女性的なやわらか味などは、かけらほどもない。その厳しさに郷里のやさしい肉親の温かさや、団らんの夕などをつぎつぎと思い起こさぬ者は少ないであろう。
 今では庭詰や旦過詰は形式化されてはいるものの、科学的で知的な教育を受け、自由にのびのびと育った新米の雲水の目には、僧堂とはなんと前近代的であり、聞きしにまさる異質な世界だと感じられるであろう。
 けれども、そこでは高い真理を求める鉄の意志が育てられ、一生の間におとずれるさまぎまな苦悩に立ち向かう、すぐれた智慧が養われていくのである。
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