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平均寿命 書き下ろし
佐賀県・善興寺住職 福郷 宗隆 
 先日、建仁寺で行われた法話研修会に参加させていただいた時に、正木晃氏の講演がありました。その講演の中で、正木氏が日本人の平均寿命の移り変わりについて話されました。
 それによると、ちょっと時代をさかのぼるだけで、驚くほど平均寿命は短くなっていきます。明治時代でも、平均寿命は30歳代でした。現代の半分以下です。明治時代ならば、私はいつ死んでもおかしくありません。
 その話を聞いた時に、私は「じゃあ、今ならあと40年は生きられるのか」と、ついついそんな考え方をしている自分に気づきました。そして、平均寿命を知る事が、知らず知らずの間に、自分にブレーキをかけているんじゃなかろうか?と考えました。
 大徳寺開山である大燈国師の言葉に

ただすべからく、十二時中、無理会のところに向かって究め来たり究め去るべし。光陰矢の如し。謹んで雑用心することなかれ

とあります。
 本当に月日の過ぎ去るのは早いものです。
 私たちは、知らず知らずに備わった「○○歳まで生きることができるはず」という妄想を抱き、そして、平均寿命から推測される今の自分の進行具合を確認しつつ、毎日を生活しているように思います。しかし、平均寿命まで生きることができるなんて保証は、どこにもありません。だからこそ、禅宗の祖師方は、口を酸っぱくして何度も、時間を大切にせよと言われたのです。
 芸術家の岡本太郎氏の言葉に、

「いくつになったらとかね、そういう考え方が人間を堕落させるんだよ」

という言葉があります。
 私たちの心の中にある、そういう慢心をいち早く改めることが、毎日を新鮮に生きることに繋がるのだと思います。

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